夫が怒鳴るたびに、
「私の言い方が悪かったのかな」
「何か夫の地雷を踏んでしまった?」
そう考えてしまう人は少なくないと思います。
夫が怒鳴るたびに、
「どうしたら怒鳴らなくなるんだろう」
「原因を理解し、自分で変わる努力をすれば、夫も変われるかもしれない。」
そう思い、私は3年かけて、これまで学んできた心理学や脳科学、アンガーマネジメントなどの知識を、夫に当てはめながら何度も検証しました。
一般的に言われていることと、ウチの夫はどこが同じで、どこが違うのか。
その結果、私がたどり着いた結論は、
「夫がこうなった原因は理解できる。でも、怒鳴る責任は夫本人にある。」
ということでした。この記事では、その結論にたどり着くまでに私が見てきたこと、考えたことを書きます。
アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで生まれた、怒りの感情とうまく付き合うための心理トレーニングです。
怒らない人になることが目的ではなく、怒りをどう表現するかを自分で選択できるようになることを目的としています。
怒りを感じること自体は自然なことです。大切なのは、その怒りを怒鳴る、物に当たる、人格否定するといった形で相手にぶつけないことです。
私は夫と出会う前から、この考え方を知っていました。だからこそ、夫の怒り方を見て、
「一般的に言われているアンガーマネジメントで説明できるのか。」
「夫はなぜ怒鳴るのか。」
という視点で、3年検証しました。
というか、今でも検証は続いています。夫が変わることについては、もう諦めています。
ただ、ここまで来ると半分は人間観察です(笑)
怒る人と怒らない人は、何が違うのか。著名な人の講演や動画を見ていても思うのですが、余裕のある人ほど、怒鳴らないんですよね。怒りを爆発させることと、その人の中身は、たぶんつながっています。
一般的なアンガーマネジメントの方法
アンガーマネジメントでは、例えば次のような方法が紹介されています。
- 怒りを感じたら6秒待つ
- 怒りの強さを1から10まで点数化する
- 「~するべき」という考え方を見直す
私は、これらの考え方自体はとても良いものだと思っています。ただ、私の夫には全く歯が立ちませんでした。
6秒数えれば落ち着けるような人は、一時的に感情的になっただけの人です。私の夫のように、些細なことで怒鳴り、物に当たり、人格否定までしてしまう人は、そのスタートラインにすら立てません。
アンガーマネジメントは、一度知ればできるものではなく、何度も練習を重ねて身につけるトレーニングです。
「1、、、2、、、3、、、4、、、5、、、6」
と6秒数えるだけで怒りの感情が消える魔法ではありません。そんな魔法があれば私も欲しいぐらいです(笑)
本人が「変わりたい」と本気で思い、取り組まなければ身につかないテクニックです。
夫が怒鳴る原因を3年間探し続けた結論
私は昔から、人の行動には必ず理由があると考える癖があります。
一見攻撃的な人に見える人でも、実は過去に大きく傷ついたことがあったり、人にやさしくできる人は、実は人の痛みを知っている人だったりします。
だから夫が怒鳴るたびに、
「何がきっかけだったんだろう。」
「なぜそこまで怒る必要があるんだろう。」
そんなことばかり考えていました。怒鳴るという結果だけを見るのではなく、その背景を理解したかったのです。
そのために、これまで学んできた心理学やコーチングの知識をもう一度夫に当てはめて考え直し、脳科学や発達特性、PTSD、家庭環境、軍での経験など、思いつくものは一つずつ調べていきました。
そして実際の夫の言動と照らし合わせながら、
「これは当てはまる。」
「これは違う。」
と、3年かけて検証を繰り返しました。
その結果、私がたどり着いた結論は、「怒鳴る原因は一つではない」ということでした。
家庭環境や性格、考え方、軍での経験など、さまざまな要因が重なって今の夫ができあがっていました。
その中でも、私が一番大きな原因だと考えたのが、夫の育った家庭環境です。
夫が怒鳴る原因は家庭環境にあった
私は結婚する前から、夫の家庭環境について聞いていました。
話を聞くたびに、
「そんな環境で育ったら、大人になっても影響は残るだろうな」
と思うことばかりでした。
支配的な母親と、夫の子ども時代
夫の母親は、とても支配的な人です。気に入らないことがあると怒鳴り、殴り、人格否定をする。
少しでも帰宅が遅くなると激しく怒り、友達と遊ぶこともほとんど許されなかったそうです。
16歳で車の免許を取ったとき、初めて友達4人でドライブに出かけたことがありました。高速道路を2時間ほど走り、休憩のためにワッフルハウスへ入ったそうです。
席に座ると、友人たちが駐車場を見て、
「……あれ、お前のお母さんじゃないか?」
と言いました。
なんと夫の母親が車の中からこちらを見ていたそうです。怖っ(笑)
夫が外へ出て問い詰めると、
母親は、
「え?いるなんて知らなかった」
と、とぼけたそうです。
高速道路を2時間走った先で偶然会うはずがありません。
夫は、その話をしながら、
「本当に恥ずかしかった」
と、当時のことを思い出して怒っていました。
それだけではありません。10歳の頃には、母親が突然再婚し、知らない男性と一緒に暮らすことになりました。
その男性が浮気をすると、
「お前がいるからだ。」
と夫は責められたそうです。
その後も母親は別の男性と付き合い、夫がアルバイトで稼いだお金まで持っていかれるようになりました。
生活は苦しいわけではないのに、水道や電気が止まることもあったそうです。
アパートの大家であった祖父母に助けを求めると、それを知った母親から、
「なんで助けを求めるんだ!私が怒られたじゃないか!」
と責められたそうです。
私も、虐待を受けて育った
私は、この家庭環境が夫に大きな影響を与えたことは間違いないと思っています。でも、それと同時に私は自分自身のことも思い出しました。
私の母は気に入らないことがあると怒鳴り、殴り、脅してきました。何で怒られているのか分からないまま叩かれることもありました。
夫の母親が過干渉だったのに対して、私の母は放任に近いタイプでした。夜遅くまで帰らなくても何も言われません。
幼稚園を休んでも、小学校を休んでも怒られない。そして運動会にも来ませんでした。だから私は逆に、
「ちゃんと学校へ行かなきゃ。」
「ちゃんと勉強しなきゃ。」
と、自分で自分を律するようになりました。ここでは書けない、本当だったら母が逮捕されてもおかしくないんじゃないかという話はもっとたくさんあります。
ひとことで虐待といっても、いろいろな形があります。でも、夫と私が受けてきた虐待には一つだけ共通していることがあります。
どちらも子どもが安心して育てる環境ではなかったということです。
それでも私は、人を怒鳴ったり、人格否定したりしていい理由には絶対にならないと思っています。
夫は自分の理不尽な怒りを問題だと思っていない
夫は、母親から受けた傷については自覚していました。結婚前からセラピーに通っていたのも、母親との関係で抱えた傷を解消したかったからだと思います。
でも、その一方で、自分が私に怒鳴ることについては、一度も問題だと認めたことはありません。
→ モラハラ夫はセラピーで変われるのか?2年間見て私が出した結論
むしろ夫は、実母よりも私のほうが恐ろしい悪魔だと言います。
「俺の母親のほうがお前より何倍もマシだ。」
そう言われたこともあります。さすがにこれはショックでしたね。
それでも、夫が私に怒鳴り、人格否定をし、一通り暴れたあと、私は何度も、
「怒ることではなく、怒鳴ることが問題なんだよ」
「怒りを感じても、私を傷つけない伝え方は選べるよ」
と優しく、諭すように、落ち着いて説明しました。アンガーマネジメントの方法も伝えました。怒りを感じたらその場を離れる、深呼吸をする、落ち着いてから話すなど、具体的にどうすればいいのかも一緒に考えました。
ネットや本で良さそうな方法があれば、ノートに書き写し、夫が読めるよう英語にも翻訳しました。もうこのやり取りにどれだけの年月と時間を費やしたのか、数え切れません。
それでも夫は、怒鳴った理由を、
「お前が俺を怒らせた」
「お前の言い方が悪い」
「お前が俺をこうさせたからお前が悪い」
と、自分は被害者、私は加害者という構図で、私を責め続けました。
夫の中では、
「お前が悪いんだから怒鳴られて当然だ」
という大義名分があります。でもそれってただの八つ当たりだし、精神的DVです。
この考え方のままでは、夫が自分の怒り方を見直す必要はありません。原因も責任も私にあることにすれば、自分は何も変えなくても済むからです。
現実は、夫は自分の問題から逃げて人に迷惑をかけ続けているだけの男ですが、自分に都合の良いものの見方しかできない男でもあります。
夫の怒りは夫の問題だった
私は、夫がなぜ怒鳴るのかを理解できれば、本人も自分の行動やこれまでの考え方を変えやすくなると思っていました。
だから、夫の過去から現在、そして未来はどうなりたいのかを何時間もかけて聞き、私にできることは、できる限り協力してきました。
でも、どれだけ原因を説明しても、夫は自分が怒鳴ることを問題だと考えたことはなく、考え方も行動も変えることはありませんでした。
母親との過去は問題視するのに、今、目の前にいる私を怒鳴り、人格否定している自分の行動は問題ではない。私は、この違いにずっと引っかかっていました。
そして3年見てきた限り、夫がこの被害者意識と他責思考から抜け出すことはありませんでした。私は、それが夫が変わらない最大の理由だと思っています。
私はつくづく、人が考え方や行動を変えることは簡単ではないと感じます。でも、本当に変わろうと思っている人は、自分の問題から逃げません。
自分が大切にしたい人を傷つけていると気づいたなら、その人のために、自分自身を見直そうとするはずです。少なくとも私は、これまでそうやって生きてきました。
だから、この記事のタイトルにある「3年無駄にした」は、半分本当で、半分は違います。もっと早く、「どれだけ説明しても、自分の問題だと認めない人は変わらない。」そのことに気づいていれば、もっと違う時間の使い方ができたと思います。
でも、その3年があったからこそ、私は一つだけ確信できるようになりました。
人は、周りが変えることはできません。自分で変わろうと決めた人だけが、変わることができます。