「今の、どこにキレる要素あった?」
夫と話していると、普通の会話の途中でいきなり怒り出すことがよくあります。
こちらは提案しただけ、確認しただけ、事実を伝えただけ。それなのに夫は、
「責められた」
「バカにされた」
と決めつけて怒り始めます。
あるとき、混んだモールでエスカレーターを降りた直後、夫がその場で立ち止まったことがありました。
「あなたの後ろから人が通るよ」
と言ったら、返ってきたのが、
「What did I do?(俺が何をした!)」
夫の口癖です。
私は長いこと、言い方が悪いのかもしれないと思っていました。
でも、夫との会話では、
「人が通るよ」が「責められた」になり、お願いをすれば「コントロールされた」、意見を言えば「攻撃された」ことになります。
認知の歪みについて調べてみると、こうした夫の考え方と重なるものがいくつもありました。
最初に断っておきますが、認知の歪みがある人が全員モラハラをするわけではありません。
これは、認知がひん曲がった私の夫ひとりの話です(笑)
「人が通るよ」と言っただけでキレられた話
夫の認知の歪みが出た場面を、ひとつ書きます。
夏休みの日曜日、モールは通路まで人でぎゅうぎゅうでした。このときの短いやり取りに、夫の認知の歪みや偏りがいくつも出ています。
エスカレーターを降りたところで立ち止まる夫
エスカレーターを降りたところで、夫は立ち止まり、私に話しかけてきました。
そこはエスカレーターを乗り降りする人が通る場所で、夫が立っているせいで、後ろから来た人が通れずにいました。
なので、腰のあたりに手をそっと添えて
「あなたの後ろから人が通るよ」
と一言言いました。
夫の口癖「What did I do?(俺が何をした)」
夫の顔つきが変わりました。身振り手振りを交えて、目をかっぴらきながらこう言います。
「What did I do?(俺が何をした!)」
夫の言葉の中でも、私の嫌いな言葉の上位に入ります。
夫が被害者づらになるとき、よくこれが出ます。
私は「後ろから人が通るよ」と伝えただけなのに夫は、「責められた」と勘違いして私にキレてきました。
そもそも認知の歪みとは「考え方のクセ」のこと
認知の歪みというのは、心理学で使われる言葉です。
国立精神・神経医療研究センターの認知行動療法センターでは、「認知」を物事のとらえ方や考え方という意味で説明しています。
また、私たちは置かれた状況を主観的に判断していて、強いストレスなどの状況では、その認知に歪みが生じることがあるとされています。
参考:国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター|認知行動療法(CBT)とは
難しく聞こえますが、私は「物事をどう考えるかのクセ」と考えると分かりやすいと思っています。
たとえば、道で知り合いに会って挨拶したのに返事がなかったとします。
「無視された」
と思う人もいれば、
「気づかなかったのかな」
と思う人もいます。同じ出来事でも、どう考えるかは人によって違います。
夫の場合、私の何気ない一言や確認まで
「俺は責められた」
「攻撃された」
ととらえます。
夫に見られる認知の歪みと偏り
ここからは、夫に見られる認知の歪みや偏りを6つに分けて見ていきます。
心理学では、認知の歪みとして、
「全か無かの思考」
「感情的決めつけ」
「レッテル貼り」
「個人化」
など、さまざまなパターンが挙げられています。
参考:持続性知覚性姿勢誘発めまいに対する認知行動療法の効果について―第一報―|Equilibrium Research
何でも自分への攻撃になる(個人化)
自分とは直接関係のない出来事まで、自分に結びつけて考えてしまう認知の歪みです。
混んだ通路で立ち止まった夫に、
「後ろから人が通るよ」
と言ったときもそうでした。
私が伝えたのは、後ろで人が通れずにいるということだけです。ところが夫は、
「What did I do?!(俺が何をした?!)」
と怒り始めました。
家でも同じです。私が、
「今日は何時頃に帰る?夕飯の準備合わせたいな」
と聞いただけで、
「なんで俺を責めるんだ」
と怒り出したことがあります。
帰宅時間を聞いただけです。
これをどう聞いたら、責められているように聞こえるんでしょうか。
誰も狙っていないのに「俺の邪魔をした」になる(敵意帰属バイアス)
運転中もそうです。合流したい車がいても、夫は道をふさいだまま気にしません。
私なら、この先に例えばスタバの入り口があるなと思ったら、合流したい車がいなくても道を空けて信号待ちをします。
ところが夫は自分がふさがれる側になると、ものすごく文句を言います。
自分の前に車線変更してくる車や、路肩に停まっていて進路をふさぐ車に対しても同じです。
自分も同じことをやるくせに、やられる側になるとむちゃくちゃキレて、車内で大声を出しながら相手を罵る汚い言葉を連発します。
誰も夫を狙っているわけではないのに、「自分が邪魔をされた」と勘違いします。
これでは、道路にいる全員が夫の邪魔をするために走っていることになります。(笑)
敵意帰属バイアスは、相手の意図がはっきりしない行動を、敵対的なものとして解釈しやすい傾向を指します。
一つのことから「お前はダメな人間」まで飛ぶ(レッテル貼り)
レッテル貼りは、一つの些細な出来事や行動だけで、その人全体を決めつけてしまう考え方です。
夫は、何か気に入らないことがあると、そこから私自身を否定する言葉まで出てきます。
「お前はダメな人間」
「人として終わってる」
「お前は頭がおかしい」
と、私の人格を否定し始めます。
自分に対しても、何か些細な勘違いや失敗をしたときに、
「俺はダメな人間」
「どうせ俺なんて」
と言うことがあります。
「俺が悪い」「どうせ俺なんて」と繰り返すときの夫については、こちらの記事に詳しく書いています。
自分がしたことでも、最後は私のせいになる(責任の転嫁)
夫は、自分が忘れたり勘違いしたことでも、最後は私のせいにすることがあります。
夫のビザを更新するときのことです。
手続きをしやすいように、私は収入証明や仕事関係など、過去数年分の必要な資料を50ページ以上集めてコピーし、英語の内容を翻訳して要点までまとめていました。
ここまで細かく準備する必要はありませんでしたが、私はビザ手続きの勝手を知っていたので、審査する側が確認しやすいように自分でまとめていました。案の定、手続きはかなり早く終わりました。
その中に、夫にしか分からない情報がありました。私は、
「今月の○日までが提出期限だから、この資料をコピーして、提出資料が間違ってないかこの範囲を確認してほしい」
と伝えていました。
ところが提出期限が迫ってきても、夫はそのことを忘れていました。
私も、自分が絶対に言ったという証拠があるわけではありません。なので、
「もしかしたら私が言い忘れてたかも。ごめんね」
と謝りました。
でも夫は、
「お前が言わなかった」
「俺は悪くない」
の一点張りで怒り始めました。
私が言い忘れた可能性もあれば、夫が忘れた可能性もあります。どちらだったのか確認できる証拠はありません。
自分の勘違いかもしれないのに、
「お前が言わなかった」
と決めつけて怒鳴りつけるなんてどうかと思います。
心理学では、自分の行為の責任が自分以外にあると考えることを「責任の転嫁」として扱う研究があります。
参考:日本語版道徳不活性化尺度(J-MDS)の信頼性と妥当性の検討|心理学研究 (自分の行為の責任を他者や状況に移す「責任の転嫁」などを扱った日本語の心理学研究)
「責められた気がする」が「責められた」に変わる(感情的決めつけ)
感情的決めつけとは、「そう感じた」という自分の感情だけで、「本当に相手からそうされた」と思い込んでしまう思考の癖のことです。
本来なら、
「人が通るよ」と言われる
↓
周りを見る
↓
「あ、後ろの人が通れないのか」と気づく
↓
端に寄る
で終わる話です。
でも夫は、
「人が通るよ」と言われる
↓
周りを確認せず、自分が邪魔になっていた可能性も確かめない
↓
いきなり「責められた」まで飛ぶ
↓
「What did I do?!(俺が何をした?!)」と私にキレる
私は夫を責めていません。でも夫は、
「責められた」
と思った瞬間、私が実際に言った言葉も、その場で何が起きていたのかも確かめようとせず、自分を被害者、私を加害者にしてキレ始めます。
ささいなことから一気に「離婚だ!」まで飛ぶ(白黒思考)
少し気に入らないことがあるだけで、極端な結論まで飛んでしまう認知の歪みです。
夫の場合、気に入らないことがひとつあるだけで、「離婚だ!」と言い始めます。
怒鳴りながら家を飛び出したり、「アメリカに帰る」と荷物をまとめることもありました。
一度はアメリカ大使館へ電話をかけ、パスポートの紛失届と再発行の手続きまでしていました。
でも数時間後には、何事もなかったように帰ってきます。
この行動は今も続いていて、毎月あることもあれば、3か月ほど何もないこともあります。何が地雷になるのか私にはわかりません。
詳しい経緯は、こちらの記事でまとめています。
「あなたの言い方が悪かったのでは」と言われそうなので先に書きます
「あなたの言い方に問題があったんじゃない?」
これは、10年来の友人に夫のことを相談したとき、実際に言われた言葉です。
ただ、私自身も長いあいだ、
「私の言い方が悪いのかもしれない」
と思っていました。
だから、言い方もタイミングも接し方も、思いつく限り変えてきました。
怒られないように、言い方もタイミングも変えた
- 相手が落ち着いているタイミングを選ぶ
- 休日や機嫌の良さそうな日を選ぶ
- 相手が興奮していても、こちらは落ち着いて話す
- 「私はこう感じた(Iメッセージ)」で伝える
- 面と向かって伝えられないときは、手紙やLINEで伝える
- 言いたいことがあっても、私が飲み込んで何も言わない
- 我慢するのをやめて、嫌なことはその場で伝える(「怒鳴るのはやめて」など)
- 争うのではなく、何度も話し合いを試みる
でも実際は、ほとんどの場合、私が1000000000歩譲って我慢していました。
伝え方を変えても、黙って我慢しても、夫が私を怒鳴ったり責めたりすることはなくなりません。
詳しくはこちらの記事にまとめています。
「そういう意味じゃない」と何度説明しても通じない
私は夫に何度も、
「そういう意味じゃないよ」
「私はそんなこと言ってないよ」
と説明してきました。
以前の私は、夫が勘違いしているだけなら、説明すれば分かってもらえると思っていました。
でも夫は、私が実際には責めていないのに、
「私に責められた」
と本気で思い込んでいます。
何が起きたのかを、まるで現場検証するみたいに一から説明しても、夫はずっと「俺を責めている」と思い込んだままです。
認知の歪みという言葉自体は以前から知っていました。でも、ここまで認知が歪んでいる人に出会ったのは初めてです。
何度説明しても夫は「自分が勘違いしているかもしれない」とは考えません。
夫の中では、
「俺は何もしていないのに責められた。だから怒る。俺は何も間違っていない」
で筋が通っています。
夫からすると、これが真実です。歪んでいるのは夫ではなく、むしろ「俺を責めてきた私」のほうだということです。
まとめ|もう勘違いしとけ、って感じです
夫がこういう考え方になる背景に、過去の経験や性格、発達特性などが関係しているのかもしれないと思い、私にできることはやろうと思っていました。
結婚した以上、夫と一生やっていく覚悟でいたからです。
だから私は、夫の中で事実とは違う結論ができるたびに、
「実際に起きたのはこうだよ」
と一から説明してきました。
「怒ることではないよ」
「こういう意味だよ」
と何度説明しても、夫は一度立ち止まって、
「自分が勘違いしているかもしれない」
と考えません。
そして、もういいかげん疲れました。
今はもう、いちいち説明することもしていません。
もう勘違いしとけ、って感じです。
参考・関連情報

