私の夫は外では、
「優しそうな人」
と言われます。
でも家では、些細なことで私を怒鳴り、人格を否定します。
この違いはどこから来るのか。
私が調べた中で、夫の行動と重なる部分が多かったのが、「愛着スタイル」という考え方でした。
先に断っておきますが、愛着に不安定さがある人が全員、パートナーに怒鳴ったり人格否定をしたりするわけではありません。
夫の行動を、愛着スタイルだけで説明できるとも考えていません。
この記事では、愛着障害と成人の愛着スタイルについて整理したうえで、夫について思い当たったことを、実際にあった出来事と一緒に書きます。
愛着障害とは|子どもにつく正式な診断名
愛着障害という言葉はネットでよく見かけますが、医学的な診断名として存在するのは、実は子どもだけです。
愛着障害は、幼い頃に養育者との間で愛着(アタッチメントと言いますが、要は安定した絆のこと)をうまく築けなかったことで起こります。
診断には、ネグレクトや養育者が何度も変わるなど、十分な養育を受けられなかった経歴が必要です。
診断名は2つに分かれます。
反応性アタッチメント障害|親にすら甘えられない子
つらいときでも、親に助けや慰めを求めることがほとんどないタイプです。転んで痛くても親に泣きつかない。抱きつかない。慰めを求めない。
本来なら一番安心できるはずの親を、安全基地として使えていない状態です。
脱抑制型対人交流障害|誰にでもなれなれしい子
逆に、距離が近すぎるタイプです。ほとんど知らない大人にためらいなく近づく。初対面の人に抱きついて、慰めを求める。
一見すると人なつっこく見えますが、知らない大人への警戒が極端に少なく、年齢相応の対人距離を取りにくいことが特徴です。
子どもの愛着障害として正式な診断名があるのは、この2つです。
どちらも診断されること自体がまれで、重い虐待やネグレクトを受けた子どもでも、全員がなるわけではありません。

大人は「愛着スタイル」として研究されている
「大人の愛着障害」という診断名は、医学的には存在しません。
大人の場合は病名ではなく「愛着スタイル」、つまり傾向の話として研究されています。
ただ、子どもの頃の愛着と、大人になってからの人間関係については、何十年も研究されています。
成人の愛着は、「愛着不安」と「愛着回避」という2つの傾向から研究されることが多く、その組み合わせを4つの愛着スタイルとして説明する考え方もあります。
4つのうち一つは安定型です。ここでは、私が夫について調べたときに気になった3つを取り上げます。
不安型|見捨てられるのが怖くて、しがみつく
相手が近くにいないと不安でたまらないタイプです。返信が少し遅れただけで「嫌われた」と感じる。
相手の予定を把握したがる。関係が壊れそうな気配に、人一倍敏感に反応します。
回避型|親密になるほど、距離を取りやすい
人と深く関わることや、誰かに頼ることを避けやすいタイプです。本心を話さない。人との距離を取りたがる。関係が深くなるほど、居心地の悪さを感じることがあります。
感情を表に出さず、一人で処理しようとする傾向もあります。
恐れ・回避型|近づきたいのに、近づくのも怖い
そして、不安型と回避型の両方の特徴を持つのが、恐れ・回避型です。
見捨てられるのが怖くて相手を求める一方で、親密になることにも不安があり、距離を取ろうとすることがあります。
「近づきたい」と「逃げたい」が、同時にあります。
子どもの頃、安心したい相手でもある親が、同時に怖い存在だった場合、「近づきたいのに逃げたい」という矛盾した反応が出ることがあります。
ただ、子どもの頃の愛着のパターンが、そのまま大人の恐れ・回避型になると決まっているわけではありません。
参考:
Attachment Styles In Adult Relationships|Simply Psychology
Attachment styles among young adults: a test of a four-category model|Journal of Personality and Social Psychology
うちの夫に、思い当たることばかりだった話【実体験】
もちろん、夫が恐れ・回避型だと決まったわけではありません。
私が愛着スタイルについて調べたとき、夫に思い当たる特徴が多かったという話です。
ここから先は、私が実際に見てきたことを書きます。
家の中では、トイレまでついてくる
夫は、私がトイレに行こうとしたら、ついてきます。そして、終わるまで外で待ってます。
お風呂に入っているのに、ドアを開けて話しかけてきます。
話す内容は、今日あったこと、好きな野球チームが勝った話など、緊急性のない話です。
その話、シャワーが終わるまで待てないんか?と思います。
シャワーはドアの方を向いていることもあるので、開ける前に外から声をかけてほしいと頼みました。
そうするとブチ切れられました。それでも、今もいきなり開けてきます。
もし仲の良い関係なら、夫婦で風呂場の会話くらい、あると思います。
ただ、私の夫は日常的に私を怒鳴り、人格否定をしてくる、そして人の話も一切聞かない人です。
シャワーは、家の中で唯一一人になれる時間です。シャワーの時くらいゆっくりさせてくれよ、と思います。
トイレまでついてきたり、シャワー中まで話しかけてきたりする夫を見ていると、不安型にみられる「相手の近くにいたがる」という特徴と重なる部分があると感じました。
「俺の家族は頭がおかしい」と言いながら、母の日に花を贈る
夫は、
「母親といると頭がおかしくなる」
と言っていました。
転勤のある軍に入ったのも、母親や祖父母から逃げたかったからだそうです。
それなのに、日本から自発的に母の日、誕生日、クリスマスに花を贈ります。
メッセージカードには、毎回感謝の言葉プラス「愛してる、xoxo(ハグとキスを意味する、親密さや愛情を表す言葉)」と書いています。
母親は、もらった花の写真と、
「愛してるよ、息子」
という文章とともに夫をタグ付けしてFacebookに投稿してました。
正直、この母子の関係は気持ち悪いと感じました。
そして、私との交際は、家族に1年近く隠していました。
SNSに載せる写真も、私が写っているものは毎回限定公開にしており、一緒に旅行に行ったときも、母親には「友達と行く」と伝えていました。
交際から1年ほど経つと、夫が軍をやめる話や、結婚して日本に残るという話が具体的に出てきました。
さすがにこの状況で母親に何も言わないのはおかしいと思い、
「さすがに一言くらい言った方がいいんじゃない」
と伝えました。それだけで、
「俺の家族は頭がおかしいのに、お前は俺を攻撃させたいのか」
と怒鳴られました。それでも、
「私があなたと同じことをしたらどう感じる?」
と言ったことで、しぶしぶ母親に電話することになりました。
母親に伝えたとき、夫はおどおどしていました。
電話越しに、母親の怒る声が聞こえました。
母親は、会ったこともない私のことを根掘り葉掘り聞いて、悪く言っていたそうです。夫は、一言もかばうことなく、
「ちょっ、ママ、、、話を聞いてよ😖」
と、弱々しく言うだけでした。
怒ると「死ぬ」「離婚する」と言い出す
夫は、暴れて怒鳴り、人格否定をしながら、「死ぬ」「離婚する」と言い出すことが多々あります。
このあたりの詳しい経緯は、こちらに書いています。
親友にも深い話をしている様子がない
夫には子どもの頃からの幼馴染が一人いて、本人は「親友」と呼んでいます。
相手の家族仲や家庭事情はよく知っている夫ですが、自分の家庭のことはほとんど話していなかったそうです。
高校生のとき、一度だけその友人を自宅に呼んだことがありました。
そこへ帰ってきた母親は、友人がいる前でいつものように夫へ難癖をつけ、大声で罵倒し始めたそうです。
友人から、
「お前の母親、やばいだろ」
と言われた夫は、それが恥ずかしくて二度と友人を家に招かなくなりました。
そもそも10代になっても外へ遊びに行くことを厳しく制限され、すぐ近くの祖母の家へ行くことすら怒られていたといいます。
そんな環境で育った夫が、子どもの頃に友人とどこまで深い関係を築けていたのかは分かりません。
ただ、現在の夫を見ても人間関係はかなり狭いです。
結婚してから友達と遊びに行ったことは一度もなく、電話で話しているところすら見たことがありません。
やり取りといえば、SNSのリール動画や誕生日のメッセージを送り合う程度です。
私から、
「たまには友達と遊びに行ってきたら?」
と何度も勧めましたが、理由をつけて頑なに拒否します。
今の夫に友達が少ない理由が、子どもの頃の家庭環境にあるのか、もともと深い人間関係を作らないタイプなのか、私には分かりません。
結婚前はバーや飲みに出かけることもあったようですが、そこでどんな人間関係を築いていたのかは分かりません。
ただ、愛着スタイルについて調べていたとき、人と親密になることを避けやすい回避傾向の説明を読んで、ここも夫に思い当たる部分の一つでした。
人前で怒りが強くなったときは、私がなだめていた
夫は怒鳴っているとき、肩で息をし、呼吸が荒くなります。興奮していることは見ていて分かります。
ただ、夫の怒りにも程度があります。
家や車の中で二人きりのときは、そのまま怒鳴り続けることがあります。
一方、人がいる場所で怒りが強くなってきたときは、私が毎回なだめていました。
周りに迷惑をかけたくないし、私自身も恥ずかしいからです。
なので、私が何もせず放っておいた場合、人前でも家と同じように怒鳴り続けたのかは分かりません。
人前でも、怒っているのが分かることはよくあります。
目を見開いて顔を真っ赤にしたり、突然その場からいなくなったりします。
家から遠いショッピングモールでも、突然外に出て「タクシーで帰る!」と騒ぎ始めたことが何度もありました。
妻に怒りをぶつけることと、愛着スタイルの関係
成人の愛着研究では、愛着不安や回避傾向と、パートナーへの攻撃行動には関連があることが報告されています。
もちろん、それだけで夫が私に怒鳴る理由のすべてを説明できるとは思いません。
夫の怒鳴り声や人格否定は今も続いています。でも、私以外の人、特に母親に同じことをしているところは見たことがありません。
人前で怒りが強くなったときも私がなだめていたため、野放しにしていたらどうなっていたかは分かりません。
そんな夫が最近、怒鳴り散らした挙句にこう言いました。
「俺の母親のほうが、お前よりマシだ」
かつて、
「母から逃げるために軍に入った」
と言っていたはずの夫。その母親と私を比べたことには、心底呆れてしまいました。
