散々傷つけておいて「俺のこと愛してる?」|境界性パーソナリティ障害と重なる夫の言動

夫は、怒鳴ったり人格を否定したあとしばらくすると、何事もなかったかのように

「ハグして」

「キスして」

「愛してるって言って」

と求めてきます。

さっきまで人の人格踏みつけてたやつが、急に「愛してる?」。

情緒どうなってんの。気持ち悪。

それでも夫の要求に応じれば一度は満足します。でも、また同じことを聞いてきます。

だんだん私は、

「なんで散々罵られてる私が、お前に『愛してる』って言わなきゃならないの?」

と思うようになり、拒否することも増えました。

そうすると、

「俺を愛してないのか」

「お前は最低な女だ」

と怒り始めます。

しかも夫は、このやり取りをおかしいとは思っていません。

一体これは何なんだ?と思って調べていくと、境界性パーソナリティ障害の特徴に、夫と似ている部分がいくつもありました。

目次

境界性パーソナリティ障害(BPD)とは

境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder:BPD)は、感情が大きく揺れたり、人との関係が不安定になりやすかったりする特徴があります。

  • 見捨てられることへの強い不安
  • 相手を理想化したり、急に強く否定したりする
  • 感情が大きく変わりやすい
  • 激しい怒りを抑えにくい
  • 衝動的な行動や自傷行為
  • 慢性的な空虚感

などが見られます。

境界性パーソナリティ障害は正式な診断名

境界性パーソナリティ障害(BPD)は、アメリカ精神医学会が定める診断基準にも載っている正式な診断名です。

ただし、夫は境界性パーソナリティ障害と診断されていません。ここでは、一般的な特徴の中で、私が実際に見てきた夫の言動と似ている部分について書きます。

また、境界性パーソナリティ障害と診断された人が、みんな怒鳴ったり、人を傷つけたりするわけではありません。

診断基準は9項目ある

境界性パーソナリティ障害には、きちんと診断基準があります。

アメリカ精神医学会の診断基準では、主に9つの特徴が挙げられていて、そのうち5つ以上が当てはまることなどが診断の条件になります。

ただ、文章だけ読むと分かりにくいので、日常ではどんなことなのかも一緒に書きます。

1.見捨てられることを強く怖がる
相手が少し離れようとしただけでも、「嫌われた」「捨てられる」と強く不安になり、何とか引き止めようとします。

2.相手への評価が極端に変わる
「この人は最高」と思っていた相手を、何かをきっかけに「最低な人」にまで一気に落とすことがあります。

3.自分がどんな人間なのかが安定しにくい
自分に対する評価や、将来どうしたいのかが大きく変わることがあります。

4.後先を考えずに行動してしまうことがある
浪費、危険な運転、過食など、自分に悪い結果が返ってくると分かっていても衝動的に行動してしまうことがあります。

5.自傷行為や自殺に関する行動を繰り返すことがある

6.感情が短時間で大きく変わる
さっきまで普通だったのに、急に強い不安やイライラに変わるなど、数時間ほどの間でも感情が大きく揺れることがあります。

7.ずっと心の中が空っぽなように感じる

8.怒りが激しく、抑えるのが難しい
些細なことで激怒したり、何度もかんしゃくを起こしたりすることがあります。

9.強いストレスがかかったとき、一時的に現実感がなくなったり、周りを強く疑ったりすることがある

ただし、「5個あった!じゃあBPDだ」とはなりません。

こうした状態が一時的なものではなく長く続いているのか、いろいろな場面で起きているのか、生活や人間関係にどのくらい影響しているのかなども含めて、専門家が判断します。

夫と重なった4つの特徴

9つの診断基準の中で、私が実際に見てきた夫の言動と特に重なると感じたのは、4つです。

「世界一愛してる」から「お前は悪魔」になる

境界性パーソナリティ障害の診断基準には、相手を極端に理想化したかと思えば、急に強く否定する、不安定な人間関係が挙げられています。

夫は、さっきまで、

「世界で一番愛してる」

「君ほど素晴らしい人はいない」

と言っていたのに、怒ると突然、

「お前は悪魔だ」

「お前はダメな人間だ」

「俺の母親のほうがお前より何倍もマシだ」

と、私という人間そのものを否定します。

世界一から悪魔まで、落差がすごい。

夫が落ち着けば、また何事もなかったように「愛してる」と言う。でも怒れば、私はまた最低の人間になります。

診断基準にある「相手を理想化したり、反対に強く否定したりする」という特徴を知ったとき、私はまずこの夫の言動を思い出しました。

「死ぬ」と言ったり、飛び降りるそぶりをする

診断基準の5番目には、自傷行為だけではなく、自殺すると言う、そぶりを見せるといった行動を繰り返すことも含まれています。

夫も、怒ったときに、

「死ぬ」

と言い出すことがあります。

飛び降りるふりをしたり、

「車にひかれに行く」

と言って外へ出ていったこともあります。

ただ、診断基準を調べるまで、私は「実際に自傷したかどうか」が基準になるのだと思っていました。

でも実際には、自殺のそぶりや脅しを繰り返すこと自体が診断基準の一つになっています。

これを知ったときは、

「それも入るんかい」

と思いました。

夫が「死ぬ」と言い出したときに実際に何が起きたのかは長くなるので、別の記事にまとめています。

さっきまで普通だったのに、数分で機嫌が一変する

境界性パーソナリティ障害では、感情が大きく揺れやすいことも診断基準に入っています。

強いイライラや不安などが急に出て、数時間ほど続くことがあり、数日以上続くことはまれとされています。

夫も、感情の変化がとにかく急です。

さっきまで普通に話していたのに、私が料理中だったので、

「あと5分待って」

とハグを後回しにしただけで、ため息をつき、顔つきが変わり、そのまま怒り始めたことも何度もあります。

私が夫の期待した反応をしなかったときは毎回こうなります。

機嫌が悪くなるまでに、一時間も一日もいりません。数秒、数分です。

こいつホルモンどうなってんねん。

些細なことで激しく怒る

4つの中でも、夫の言動と特に重なると感じるのが、激しい怒りです。

診断基準には、激しい怒りが出ることや、怒りを抑えるのが難しいことも挙げられています。

頻繁にかんしゃくを起こす、いつも怒っている、けんかを繰り返すといった例も示されています。

夫は、朝からずっと機嫌が悪い日もあります。

そのまま何時間も不機嫌で、そこに些細なきっかけが入ると一気に怒り出すこともあります。

ここまで一方的に怒鳴られたり責められたりすることが続くと、私はだんだん、夫はわざとけんかを仕掛けているんじゃないかと思うようになりました。

実際のところは夫にしか分かりません。

私は夫の敵ではありません。家族で、むしろずっと夫を支えていたほうです。

それなのに、些細なことで私を責め、怒鳴り、攻撃してきます。

私はお前の敵じゃない。なんで味方に向かって毎日戦闘態勢なんだよ。このアホ。

「愛してる」と返すのもハグもキスも、もう無理

最初のころは、夫を愛していました。

当時の私は、愛している人に何度も傷つけられて本当に辛かったです。

それでも、この人と一緒に生きていくつもりだったので、夫の支えになるならと我慢していました。

でも同じことを毎日何度も、何年も繰り返されるうちに、「愛してる」と返すことも、ハグやキスをすることも気持ち悪くなりました。

暴言を思い出して、拒否反応が出たり、フラッシュバックしたりして精神的にも追い詰められた時期もありました。

ただ今は、応じたほうがその場が早く終わって自分が楽なら、応じることもあります。

完全に割り切っていて、「愛しているから応じる」とは全く違います。

参考文献

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