間欠性爆発性障害(IED)とは?|今日も夫の機嫌ガチャが始まる

夫は、私が寝ているときでも部屋に入ってきて、ドアを乱暴に開け閉めします。

「寝ているときは、ドアを静かに閉めてほしい」

とお願いすると、夫の顔つきが一変して、声を荒らげます。切り替わるまで、ほんの1秒くらいです。

また、夫はトイレのあと、毎回便器を汚したまま出てきます。

「トイレを出る前に確認して、汚れてたらそこを軽くでもいいから掃除してほしい」

とお願いしても、同じようにものすごく怒ります。

こっちは一日に何回、汚れた便器を洗って、床に落ちたう○こ付きトイレットペーパーを拾っとると思ってんねん。

※お食事中の方、ほんと申し訳ありません。

これって、そんなに無理なお願いでしょうか?

私の中では、夫の機嫌はガチャみたいなものです。

「怒らない」という当たりカプセルは、ほぼ入っていません。

出てくるのはだいたい「怒る」。しかも、ほとんど強いやつ。

何が出るか分からないというより、ほぼ怒りしか入っていないガチャです。

私はこれを勝手に、

「機嫌ガチャ」

と呼んでいます。

そんな夫の怒り方について調べていたときに知ったのが、間欠性爆発性障害(IED)でした。

この記事では、IEDが医学的にどう説明されているのかを確認したうえで、私が実際に見てきた夫の怒り方を書きます。

目次

間欠性爆発性障害(IED)とは

間欠性(かんけつせい)爆発性障害は、IED(Intermittent Explosive Disorder)と略される診断名です。

IEDは、精神疾患の診断基準をまとめた、アメリカ精神医学会発行の『精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)』に掲載されています。

突然激しく怒るという特徴は以前から精神医学で扱われており、昔のDSMでは別の名前で分類されていました。

その後、「間欠性爆発性障害」という診断名になっています。

IEDは「よくキレる」だけでは診断されない

ここからは、DSM-5に書かれている診断基準を見ていきます。

回数と期間にも基準がある

怒りの爆発が起きる回数と期間にも基準があります。次のどちらかを満たすことが条件です。

  • 暴言などの言葉による攻撃や、物を壊したり相手にけがをさせたりするほどではない身体的な攻撃が、平均して週2回、3か月続く
  • 物を壊したり、人や動物にけがをさせたりするほどの爆発が、12か月のあいだに3回起きる

そこまで怒るようなことではないのに、激しく怒る

たとえば、ちょっとした注意や頼みごとに対して、怒鳴ったり激しく攻撃したりするなど、

「それ、そこまで怒るようなこと?」

と思うほど反応が大きいことも診断基準に入っています。

衝動的な怒りであること

怒りの爆発が、相手を怖がらせたり、自分の要求を通したりするために使われるものではなく、その場で衝動的に起きることも条件です。

要するに、怒った結果どうなるかを計算して使う怒りではなく、カッとなって爆発するような怒りです。

生活に支障が出ていること

怒りの爆発によって、本人が強い苦痛を感じていたり、仕事や人間関係に支障が出ていたり、金銭的・法的な問題につながっていることも診断の条件です。

このほか、IEDは6歳以上、またはそれに相当する発達水準であることも診断の条件です。

ほかの病気や薬などが原因ではないこと

怒りの爆発が、ほかの精神疾患や身体の病気、薬やアルコールなどの影響によるものではないことも条件です。

うちの夫の場合

ここからは、私が実際に見ている夫の怒りの爆発について書きます。

「それ、そこまで怒ること?」

夫は、私がちょっとしたお願いをしただけで、突然キレることがあります。

夫が車の中でお菓子を食べたあと、食べくずが車内に散らかっていたとき、

「ゴキブリがきたら困るから、シートに落ちた食べくずや、食べかけのお菓子の袋を開けたまま放置するのはやめてほしい」

と頼んだだけで激怒。

ほかにも、夫は私が何かをしているときに、必ず何度もどうでもいいことを話しかけてきます。

私はというと、夫が何かしているときは、急用がない限り話しかけません。

ブログを書いているときや料理をしているときも、

「今は集中したいから、急用じゃなければ作業が終わるまで話しかけないでほしい」

と頼んだだけで激怒。

「お前は俺を愛してない」

と大声で怒鳴ることもありました。

毎回、

「それ、そこまで怒ること?」

「子供じゃあるまいし、ばっかじゃないの」

と思います。

怒鳴り散らしが始まる

夫がキレ始める瞬間は、長く一緒にいるので分かるようになりました。

以下のような様子になり始めたら、怒りに切り替わるまでほんの1秒くらいです。

  • 口を曲げる
  • 目を見開く
  • 早口になる
  • 声を荒らげる
  • 同じ言葉を何度も繰り返す
  • 物を乱暴に扱ったり、投げたりする

声は外に響くほど大きくなることもあります。

何度か、近所の人に警察を呼ばれたこともあります。

怒りが長引くと、手をもんだり、猫背になって早歩きで部屋の中を何度も行ったり来たりすることも多いです。

まるで、ケージの中をウロウロするゴリラか、牢屋の中を行ったり来たりする人みたいです(笑)

ちなみに、落ち着かず同じ場所を行ったり来たりすることや、手をもむことは、精神医学でも「焦燥」や「興奮」のときに見られる行動のひとつとされています。

怒っている時間にはかなり幅があり、10〜30分くらいで終わることもあれば、1時間以上続くこともあります。

怒ったあとの様子は日によって違う

急に普通に戻る日

さっきまで怒鳴っていたのに、急にゲームを始めたり、スマホで動画を見て笑ったり、寝てしまったりします。

何事もなかったように、普通のテンションで私に話しかけてくることもあります。

そんなときは、

「私に怒りをぶつけて、サンドバッグにして気が晴れたんか?」

「本当にしょうもないやつだな」

と思います。

そのまま機嫌が悪い日

一方で、怒ったあとも機嫌が悪いままの日も多くあります。

大げさにため息をついたり、別の部屋へ行ったり、家から出て行こうとしたりします。

嫌味や人格否定が続くこともあり、

「お前はナルシシストだ」

「俺はナルシシストと結婚している」

「お前はビッチだ」

と言われることも何度もあります。

怒っている途中で、怒る理由が変わる

夫は、予定のない休日に自分が早く起きると、私も起こしてきます。

朝4時や5時に起こしてきます。ミルクの時間ですか?

私は眠りが浅く、夫のいびきもあまりに大きいので、寝室を別にしています。

物音ですぐ目が覚めることも、寝ているときは静かにしてほしいことも何度も伝えています。

「お願いだから、もう少し寝かせて」

と言うと、舌打ちをしてキレることがあります。

その時点でもう目が覚めてしまい、寝直せません。

朝から怒鳴ってくるので、すぐ普段通りに接する気にもなれず、必要なことだけ話します。

すると今度は、

「お前のその態度、なに?どういうつもり?」

と怒り始めます。

最初は「もう少し寝かせてほしい」と言ったことに怒っていたのに、今度は私がすぐ普段通りに接しないことが、怒る理由になります。

予定がその場でひっくり返る

「今日は一緒に出かけよう」

と決めていても、些細なことでキレると、

「もう俺は行かない!」

と言い出すことがよくあります。

私が食事を作っている途中でも、また些細なことでキレて、

「なんで俺の食事を作ってるのか。作るな!食べない!」

と言って、家を出ていくことがあります。

「え? わがまますぎない?」

二人で外出している最中にも、まーた些細なことで、

「俺はもう一人で帰る!」

と言い、周りから見ても分かるくらい怒った様子で、その場から早歩きでどこかへ去っていくことがあります。

夫は、「ここで怒ったらどうなるか」といったん立ち止まることがありません。

私は夫に何度も、

「5分後の未来を想像して」

と言っています。

ここで怒鳴ったらどうなるのか。

人格否定をしたら相手がどう感じるのか。

「もう帰る」と言って本当に帰ったら、そのあとの予定はどうなるのか。

怒る前に、それくらい一回考えてほしいという意味です。

私は幼稚園の先生なのか、母親なのか。

夫がキレる基準が、理解不能

「ドアを静かに閉めて」

「鍵を閉めて」

「今はちょっと忙しい」

と夫に言っても、キレないときがごくたまーにあります。

怒られることもなく、「分かった」で終わったり、そのまま普通に会話が続いたりします。

でも多くの場合、同じように頼んだだけで突然キレます。

さっきまで普通に話していて機嫌もよさそうだったのに、その5分後には怒鳴っていることもあります。

私には、夫が何を基準に怒っているのか全く分かりません。

「ホルモンでも暴走してるんか?」

と思うくらい、反応が急に変わります。

これが、私が夫の反応を「機嫌ガチャ」と呼んでいる理由です。

謝った直後に、またキレる

いったいどういう風の吹き回しか知りませんが、夫はごくたまに「Sorry」と謝ることがあります。

ただ、謝った直後にまたキレるのがデフォです。

夫が謝る。私は、

「もう分かった。次からやらなければそれでいい」

と言う。それでも夫は、何度もしつこく謝ってきます。

そして、

「ハグしよう」

「キスしよう」

「I love you」

が始まります。

でも私は、すぐにハグやキスをしたい気持ちにはなれません。それどころか一生やりたくないです。

なので、

「今はやりたくない」

「忙しいから」

と断ります。

すると今度は、それを理由にまた怒鳴ったり、人格否定したりします。

いや、ついさっきまで私に怒鳴って人格否定してた人と、数分後に何事もなかったようにハグやキスなんてできるか。

というか、

あんたと同じ空気すら吸いたくないし、一人にしてくれ。

という気持ちのほうが強いです。

この場面を、何度も繰り返しています。

「I love you」と言いながら、どうして同じ相手を何度も傷つけられるのか。これについては、別の記事で詳しく書いています。

私が「ただの短気」では片づけられないと感じた理由

夫の怒り方が何年も毎日のようにあまりにもひどいので、調べているうちに間欠性爆発性障害(IED)という診断名を知りました。

「え? 夫ってIEDの特徴にあてはまるんだが?」

と思ったのは、単に夫が怒りっぽいからではありません。

これまで書いてきたように、夫は「それ、そこまで怒ること?」と思うようなことで一気にキレます。

しかも、一度キレると自分で歯止めが利きません。

IEDの人と、IED以外の精神疾患がある人、精神疾患のない人を比較した研究があります。

この研究では、IEDの人は怒りの爆発の前や最中に、より強い怒りや身体的な反応を感じ、「自分で止められない」という感覚も強かったことが報告されています。

また、爆発したあとには、より強い後悔もみられました(Kulper et al., 2015)。

夫に強い後悔があるようには一切見えないけどね。

これが、私が夫の怒り方を「ただ短気なだけ」とは思えず、「IEDでは?」と疑った理由です。

まとめ|「やっぱり普通じゃないんだ」と思った

何年も夫の怒りに悩んで、「なんでこんなことで、ここまで怒るんだろう」と調べてきました。

すると、発達障害の特徴にも、IEDの特徴にも、夫と重なるところがいくつもありました。

それを見て、

「ああ、やっぱりこいつ普通じゃないんだ」

と思ったことは、私の中ではかなり大きかったです。

安心したわけではありません。

ただ、

「こういう怒り方をする人って、本当にいるんだ」

「やっぱり何かおかしいと思っていたのは間違ってなかったんだ」

と、腑に落ちました。

いや、それより自分で汚したう○こくらい、自分で片づけてくれ。

参考文献

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