私はもともと完璧主義で、
「100点じゃなきゃダメ」
と考えやすいところがありました。
白黒思考についても、自分にはかなり当てはまると思っています。
夫との生活でも、
「料理も掃除もちゃんとしなきゃ」
「いい妻でいなきゃ」
「私がもっとちゃんとした言い方をすれば怒らないはず」
「自分がもっと成長しなきゃ」
と、自分にできることを探し続けていました。
今になって思うのは、私の中にあった「ちゃんとできなければダメ」という完璧主義的な白黒思考は、夫から怒鳴られる生活の中で、自分を責める方向にも働いていたということです。
ただ、今は、
「すぐには答えが出ないこともある」
「今の時点ではグレーでも、あとから分かることもある」
「ていうか世の中ってほぼグレーしかないじゃん」
と立ち止まって考えられるようになってきました。
この記事では、白黒思考とはどんな考え方なのか、完璧主義とどう関係しているのか、そして私と夫にどこまで当てはまるのかを整理していきます。
白黒思考とはなにか
白黒思考は、「良いか悪いか」「成功か失敗か」のように、物事を二択で考えやすいことです。
まず、どんな考え方が白黒思考に当たるのかを見ていきます。
物事を「0か100か」で考える
たとえば、少しミスしただけで「全部ダメだった」と思ったり、ある人の一面だけを見て「良い人」「悪い人」と決めてしまったりする。
こうした白黒思考を調べるために作られたのが、Oshio(2009)の Dichotomous Thinking Inventory(DTI)という尺度です。
DTIでは、白黒思考を大きく3つの傾向から見ています。
- あいまいな状態が苦手で、はっきり決めたくなる
- 物事には「正しい・間違い」「成功・失敗」のように、はっきりした二つの答えがあると思いやすい
- 得か損かで判断しやすい
こうした傾向を合わせて、白黒思考の強さを見ていきます。
日本の研究では、白黒思考が強い人ほど、5段階のアンケートでも「1」や「5」のような両端の回答を選びやすい傾向が報告されています(石川・敷島, 2020)。
白黒思考は病名ではない
「白か黒か」「0か100か」のように、物事をはっきり分けて考えやすい傾向を表す言葉です。
白黒をはっきりさせたいこと自体が悪いわけではない
答えをはっきりさせたいこと自体が悪いわけではありません。
実際には、すぐに答えが出ないこともありますし、今は分からなくても、調べたり時間が経ったりすることで分かることもあります。
私も以前は、あいまいな状態をそのままにしておくのが苦手でしたが、今は「まだ分からない」「どちらとも言えない」という状態もあると思えるようになってきました。
白黒思考チェックリスト
ここからは、白黒思考でよく見られる考え方を、チェックリストにしてみました。
「これ、自分にもあるかも」と思うものがないか、見てみてください。
※研究で使われている尺度をそのまま掲載したものではなく、白黒思考の特徴を分かりやすくまとめたものです。診断のためのチェックリストではありません。
自分のことを0か100で評価していないか
- 少しミスしただけで「全部ダメだった」と思う
- 80点でも「できなかった」と感じる
- 一つ失敗すると、それまでうまくいっていたことまで台無しに感じる
人や出来事を「良い・悪い」で決めていないか
- 一つ嫌なところを見つけると、その人全体を「悪い人」だと思う
- 気に入らないことがあると、相手の良いところまで見えなくなる
- 「信頼できる人」から「信頼できない人」へ一気に評価が変わる
完璧にできないと失敗だと思っていないか
- 完璧にできないなら、やる意味がないと思う
- 成功か失敗か、どちらかでしか考えられない
- 少しでも妥協すると、その選択自体がダメだったと思う
- 途中で計画を変えるくらいなら、やらないほうがましだと考える
完璧主義チェックリスト
完璧主義には、「高い目標を持つ」という面だけでなく、失敗やミスを強く気にしたり、自分に厳しすぎたりする面もあります。
- 少しでもミスすると、自分を責めてしまう
- 人に任せるより、自分でやった方が安心する
- 「これくらいでいい」と思えず、必要以上に頑張ってしまう
- できたことより、できなかったことが気になる
- 人から褒められても「まだ足りない」と感じる
- 失敗するくらいなら、最初からやらない方がいいと思うことがある
- 家事や仕事、人間関係でも「ちゃんとしなきゃ」と思いやすい
- 自分に対して「もっと頑張れるはず」と厳しくなりやすい
※診断のためのチェックリストではなく、完璧主義に見られやすい考え方を分かりやすくまとめたものです。
白黒思考と完璧主義の関係
完璧主義と白黒思考は似ていますが、同じものではありません。
私もこの2つは、ずっと同じようなものだと思っていました(笑)。
「完璧を求める」と「完璧でなければダメ」は違う
たとえば、
「家はいつもきれいでなければダメ」
と高い基準を自分に求めるのは、完璧主義に当てはまります。
一方で、少し掃除できなかっただけで、
「全部きれいにできなかった。だから今日は何もできなかったのと同じ」
と考えるのは、「できたか、できなかったか」の二択で判断する白黒思考です。
完璧主義は「完璧であるべき」と高い基準を求めること。
白黒思考は「完璧でなければ失敗」と両極端に判断すること。
別の考え方ですが、同じ人の中で両方が出ることはあります。
……似てる。ややこしい(笑)。
完璧主義と白黒思考が重なるとどうなる?
完璧主義と白黒思考には関連があるだけでなく、この二つが重なることで、行動や判断にも影響する可能性があります。
He(2016)は、賃貸物件や車を選ぶ場面で、完璧主義と白黒思考が判断にどう影響するのかを4つの研究で調べました。
たとえば、複数の賃貸物件から条件を比べて一つを選ぶとき、選択肢や比較する項目が増えるほど、すべての条件を満たす「完璧な選択」は難しくなります。
そのような場面では、完璧主義が強い人ほど、
「完璧に選べないなら、もういい」
という白黒思考が働き、選ぶことを諦めたり、結果的に判断の質が下がったりする傾向が見られました。
夫との生活で、完璧主義と白黒思考はどう出ていた?
夫との生活では、
「もっとちゃんとしなきゃ」
「私の言い方が悪かったのかな」
と、夫に怒鳴られ、暴言を吐かれ続けているにもかかわらず、自分のほうを何度も見直していました。
当時の私の言動には、完璧主義や白黒思考がいくつも出ていました。
「もっと私がちゃんとしなきゃ」と自分を責め続けてしまうとき、どんな考え方が隠れているのか。
私の実体験を書きます。
夫が怒る原因を何年も探していた
これは、原因を探すこと自体が完璧主義や白黒思考というわけではありません。
ただ私の場合は、
「原因が分かれば、正しい対応ができるはず」
と考えて、ずっと答えを探し続けていました。
ここには、
「正解を見つけたい」
「ちゃんと対処したい」
という完璧主義的な考えがかなり出ていたと思います。
「私の言い方が悪かったのか」と自分を何度も見直した
夫が怒るたびに、
「言い方が悪かったのかな」
「もっと優しく言えばよかったのかな」
「正しい言い方なら怒らなかったのかな」
と考えていました。
これは、
「ちゃんとした言い方をしなきゃ」という完璧主義と、
「うまくできなかった=私が悪い」という白黒思考。
ここは、かなり両方出ていたと思います。
夫に怒鳴られたことよりも、「自分のどこが悪かったんだろう」と考えるほうに意識が向いていました。
そのたびに、もっと言い方を直そう、もっと気をつけようと、自分のほうを修正し続けていました。
今なら、どう考えても理不尽に怒鳴る夫が悪いとハッキリ言えます。
ここは白か黒かしかないですw
夫を安心させるために、嫌でもハグやキスに応じていた
私は、
夫に理不尽な言動をされても、
「ちゃんと愛情を示さなきゃ」
「いい妻なら、嫌でも応じるべき」
と思っていました。
今振り返ると、ここには
「いい妻でいなければならない」という完璧主義
がかなり強く出ていたと思います。
→モラハラで自己肯定感が削られていった話|悪いのは夫なのに自分を責めていた
スピリチュアルでも「自分に足りないもの」を探した
「もっと感謝しなきゃ」
「もっと成長しなきゃ」
「私が変われば関係も変わるかもしれない」
と、自分に足りないものを探していました。
ここも、「もっとちゃんとした自分にならなきゃ」という完璧主義が中心です。
一方で、
「自分が変われない=問題を解決できない」
のように考えていた部分には、白黒思考も混ざっていたと思います。
私は完璧主義と白黒思考、夫は白黒思考
私の場合は、完璧主義と白黒思考の両方が出ていて、「私が悪い」と自分を責める方向に向いていました。
一方、夫に強く出ていたのは白黒思考で、「お前が悪い」と相手を責める方向に向いていました。
同じ白黒思考でも、私と夫ではその出方がかなり違っていました。
夫に出ていた白黒思考
私が実際に見てきた夫の言動の中で、白黒思考が出ていたものを書いていきます。
「君ほど素晴らしい人はいない」から「お前は悪魔」になる
夫は毎日のように
「愛してる」
「君ほど素晴らしい人はいない」
と言ってきます。
ところが、些細なことで怒鳴り始めると、数分後には
「お前は悪魔だ」
「俺の母親のほうがお前より何倍もマシだ」
「地獄に落ちろ」
「お前はみんなから嫌われている」
と言い出します。
数分前には「君ほど素晴らしい人はいない」と言っていた人が、ですよ。
あまりにも切り替わりが極端で、私は
「この人、頭おかしいな」
と思っていました。
というか、今でもこんな極端なことを夫に言われるたびにそう思ってます。
些細なことで「離婚する」「出ていく」と極端な結論になる
夫は些細なことでキレると、「離婚する」「もう出ていく」と、すぐに極端な結論になります。
「もう出ていく」と叫びながら、実際に家を出ていったことも何度もあります。
話し合ったり、少し時間を置いて考えたりするステップをすっ飛ばします。
暴力と白黒思考の関係|もともとの傾向?それとも暴力の影響?
ここまでは、私と夫の白黒思考について書きました。
それらを調べていくうちに、
「パートナーから暴力を受けた人と白黒思考には、どんな関係があるのか」
という疑問が生まれました。
もともと白黒思考をしやすい人なのか、それとも暴力を受ける中で強くなっていくのか。
卵が先か鶏が先か、みたいな話です。
研究ではどこまで分かっているのか、調べてみました。
暴力を受けた女性では、白黒思考に近い傾向が強かった
パートナーから暴力を受けた女性と、そうではない女性を比べた研究があります。
その結果、暴力を受けた女性のほうが、物事を「どちらか一方」と極端に分けて考える傾向が強いことが分かりました。
研究ではこれを「polarization(極端な二分化)」と呼んでいます。今回扱っている白黒思考に近いものです。
ちなみに、この研究でいう「暴力」には、身体的な暴力だけでなく、精神的な暴力も含まれています。
暴力を受けたことで、白黒思考が強くなったかは分からない
ただ、この研究だけでは、暴力を受けたから白黒思考に近い傾向が強くなったとは言えません。
わからなかったんかーい。
もともとそういう考え方をしやすかったのか、それとも暴力を受ける中で強くなったのか。
今回確認した研究では、そこまではっきり分かりませんでした。
卵が先か鶏が先か、結局そこはまだ謎でした。
「自分が悪い」と考える自責も報告されている
2025年の研究では、パートナーから暴力を受けた女性に、
- 「自分にも原因がある」と自分を責める
- 相手の責任を軽く考える
- 暴力を「そこまでひどくない」「よくあること」と考える
- 「いつか相手は変わる」と期待する
といった考え方が見られることがまとめられています。
私の場合は、たとえば、
「ちゃんとできなかった」
↓
「ちゃんとできなかった私はダメ」
↓
「だから、相手が怒ったのは私にも原因がある」
というように、極端な評価が自責につながっていました。
まとめ|これからは白黒思考と完璧主義を使い分ける
白黒思考も完璧主義も、全部なくせばいいとは思っていません。
完璧さが必要な場面もあるし、白黒はっきりさせなければならないこともあります。
でも、日常生活まで全部100点じゃなくていい。
世の中は、たぶんほとんどグレーです。
医者には完璧に仕事してもらわないと困る。
白黒つけるのは裁判官だけでいい。
私はこれから、そのくらいで生きていこうと思います。
参考文献
- 石川武・敷島千鶴(2020).二分法思考傾向と質問紙におけるレスポンス・スタイルとの関連の検討.『パーソナリティ研究』29(1), 14–16. DOI: 10.2132/personality.29.1.5
- Oshio, A. (2009). Development and validation of the Dichotomous Thinking Inventory. Social Behavior and Personality, 37(6), 729–742. DOI: 10.2224/sbp.2009.37.6.729
- He, X. (2016). When perfectionism leads to imperfect consumer choices: The role of dichotomous thinking. Journal of Consumer Psychology, 26(1), 98–104. DOI: 10.1016/j.jcps.2015.04.002
- Soldevilla Alberti, J. M., Feixas i Viaplana, G., Varlotta, N., & Cirici i Amell, R. (2014). Characteristics of the construct systems of women victims of intimate partner violence. Journal of Constructivist Psychology, 27(2), 105–119. DOI: 10.1080/10720537.2014.879521
- Badenes-Sastre, M., Medinilla-Tena, P., Spencer, C. M., & Expósito, F. (2025). Cognitive Distortions and Decision-Making in Women Victims of Intimate Partner Violence: A Scoping Review. Psychosocial Intervention, 34(1), 23–35. DOI: 10.5093/pi2025a3