「外ではあんなに優しい人なのに、本当にそんなことをするの?」
モラハラ被害について相談したとき、このような反応をされたことがある方もいるかもしれません。
私の夫も、外では、
「優しそうな旦那さん」
「おとなしい旦那さん」
と言われることが多く、周囲から悪い印象を持たれたことはありません。しかし、家の中ではまったく違います。
些細なことでキレる、怒鳴る、人格を否定する、嫌だと伝えたことを何度も繰り返す。外で見せる姿と家の中で見せる姿は、全くの別人です。
そして私は、この「外で見える夫の姿」のせいで、被害を人に話すこと自体が難しくなりました。
実際に相談したとき、
「本当にそんなことをするの?」
「あなたが悪いことしたんじゃないの?」
と言われたこともあります。
この記事では、私が実際に経験した「外では優しい夫」と「家では怒鳴り散らす夫」の違いや、夫の外面の良さによって、私が受けていた被害を周囲に理解してもらうことがどれだけ難しかったのかを書いていきます。
外面がいいモラハラ夫は家で別人になる
私の夫は、外ではどちらかというと静かにしていることが多く、
「穏やかな人」
「優しそうな人」
という印象を持たれます。実際にも、
「優しそうな旦那さんですね」
「おとなしい旦那さんですね」
と言われます。
しかし、その印象と家の中での姿はまったく一致しません。家では、些細なことで突然怒鳴り、人格を否定します。
「嫌だからやめてほしい」
と何度伝えても、同じことを毎日何度も繰り返します。
外での夫の姿だけを知っている人が、この様子を想像するのは難しいと思います。家の中で起きていることは、一緒に生活をしている人にしか見えないことがあると私は感じています。
外で黙っている夫は「優しい旦那さん」に見えている
夫は、人付き合いが得意ではありません。自分から積極的に話しかけることも少なく、相手が何に興味を持っているのか、その場で何の話をしているのかに合わせて会話を広げることもほとんどありません。
夫は日本語を話せないので、日本人ばかりの場所ではなおさら会話に入ることが少なくなります。
ただ、夫自身は「日本語を話せるようになりたい」と言っています。
しかも、私と知り合う前は、週末になると日本人の店員しかいないバーやカラオケによく出かけ、ドライブもしていました。
英語が十分に通じるとは限らない店にも、自分で普通に行っていたそうです。
それが私と一緒にいると、注文や人とのやり取りまで私に任せ、通訳を求めるようになります。
その姿だけを見ると、
「おとなしい人」
「穏やかな人」
「優しそうな旦那さん」
と思われます。
実際、周りの人には何度もそう言われてきました。
でも、周囲から「おとなしい」と見られている夫と、家で怒鳴り、人格否定をしている夫を両方知っているのは私です。
そして今振り返ると、その「優しい旦那さん」という印象を、私自身も支えていました。
夫の外面を支えていたのは私だった
私が外でやっていたのは、主に夫の通訳と、夫がキレたときにその場を収めることでした。
「俺の言いたいことを通訳しろ」
外出先では、私は会話の中心になるよりも、一歩下がって夫の通訳をすることの方が多いです。
今でも、役所や病院など重要な場面では必要なら通訳します。夫との関係が普通だったら、プライベートでも喜んでやっていたと思います。好きな人が困っているなら、力になりたいからです。
でも、家では怒鳴られ、人格否定され、嫌だと伝えたことも何度も繰り返される。その夫のために、私が自分の時間を楽しんでいるときまで通訳係になるのは嫌です。
たとえば、よく行く寿司屋で常連さんたちと一緒になったときです。私は寿司を食べに来ているのであって、夫と常連客の通訳をしに来ているわけではありません(笑)。
しかも、ただ言葉を訳せば終わりではありません。
いつも夫が自分から話したがるときは、その場の流れとは関係のない話題を長く話そうとします。
たとえば、全員がサッカーの試合について盛り上がっているときに、突然スタジアムのオーナーやそのスタジアムの歴史について長く説明し始め、それをすべて通訳するよう私に求める、といったことです。
夫:「そのスタジアムは19○○年に建設されたんだ。その時の初代の選手は・・・うんたらかんたら・・・」
そのときのみんな:「○○がシュートを決めたー!!!」
こんな感じです(笑)はっきり言って、その話は今じゃないじゃないですか。
「ちょっと今みんなこれについて話してるよ」
と伝えても、
「いや俺の言いたいことを通訳しろ」
の一点張り。
それでも通訳しろとキレる。しませんけどね。こんなん通訳したら、空気読めない人確定ですわ。
何より、その場で盛り上がっている会話の腰を折りたくないです。場の空気を壊す役を、私に押し付けるなと思います。
どうしても伝えたいなら、今はスマホの翻訳機能もあります。夫にも、自分で翻訳アプリを使って会話する方法を何度も提案しています。
自分で伝えて、相手の反応が薄ければ、
「この話題はあまり興味を持たれないんだな」
と分かります。
それもコミュニケーションだと思います。
でも夫は、代わりの方法を提案してもほとんど使わず、それでも私には、
「やれ」
と言います。
正直、私は「それなら、相手にどう思われても自分で経験すればいい」と思っていました。
周りから「翻訳してくれないの?」と言われることもあります。それ自体は自然なことだと思っています。私もみんなで楽しく話すことは好きです。
疲れるのは、そのまま訳すだけでは会話にならないことです。
夫の話がその場の流れと噛み合っていないと、そのまま訳せば相手の話の腰を折ることになります。だから私が中身を考えて、その場の会話が続くように翻訳内容まで調整することになります。
外でキレても、私が先になだめていた
通訳だけではありません。夫の怒鳴り方は、人目があるかどうかで変わります。外では家にいるときほど怒鳴りませんが、それでもキレることはあるので、私は先になだめて、その場を収めています。
支えてたのお前かい、という話です(笑)。でも聞いてください。
モールのような、たくさん人がいる場所でそういうことをされたら、恥ずかしくてたまりません。
夫は日本語を話せないので、英語だから何を言っているかも周りには伝わらない可能性が高い。
「今日はたまたま機嫌が悪かったのかな」
「奥さんが何かしたのかな」
と思われる可能性もあります。
そうなれば、夫の本性が伝わるどころか、私までそこに行きづらくなります。
それに、普段から夫を知っている人には「おとなしい」「優しそう」と思われています。私も人前では夫を立ててきたので。
そういう人の前で何か起きても、普段の夫の印象があります。私が強く言えば、むしろ私のほうが強く見えることもあると思います。
男尊女卑なのか、夫が外国人だからなのか、理由は分かりません。
ただ、実際に「旦那さん、毎回奥さんに付き合って偉いね」と言われたこともあります。連れて行っているのも、通訳しているのも、その場を収めているのも私なんですけどね。
その結果、夫が外で怒鳴る姿はほとんど表に出ず、周囲には「優しい旦那さん」という評価だけが残りました。
自分が被害を受けないために動いていたはずなのに、結果として夫の外面まで守っていた。今振り返ると、何をやっていたんだ私は、と思います。
被害を打ち明けても信じてもらえないことがある
私は、夫のことを誰にでも相談していたわけではありません。外で見せる姿を知っている人に話しても、信じてもらうのは難しいだろうと思っていたからです。
それでも、10年来の仲が良かった友人に勇気を出して相談したことがあります。そうしたら返ってきたのは、以下の言葉でした。
「本当にその人がそんなことをするの?」
「あなたが大げさなんじゃないの?彼はいつもニコニコしてるのに」
「それってただの惚気(のろけ)?」
「あなたが普段から彼の嫌がることしてるからじゃない?」
「ていうかそもそもあんたこれまでモテてきてるから勘違いして、旦那のこと下に見てるんじゃない?」
「優しい旦那さん」という印象は、それほど強いものでした。その元友人は、私が被害を話しても信じないどころか、最終的に私の人格否定までしてきました。
私はそこに、外面の良さの怖さがあると感じました。家庭内で起きていることよりも、外で見えている姿の方が信じられてしまうからです。
さらに、悩みに悩んで相談した自称・毒親専門カウンセラーにも、夫の味方をされたことがありました。
肩書きがあるからといって、相手を客観的に見てもらえるとは限らないことを、そのとき痛感しました。
→ 自称・毒親専門カウンセラーに相談して傷ついた話|肩書きだけでは判断できない
→ モラハラを相談したら傷ついた|それはセカンドレイプかもしれない
自分の中で何が起きているのかを整理するために、考えたことを言葉にする時間はかなり取っていました。
そのとき私がやっていたことはこちらに詳しく書いています。
→ ChatGPTとの対話で頭の中を整理した話|言語化が行動につながるまで